2026年7月15日
内視鏡検査と聞くと、「苦しい」「つらい」といったイメージから受診をためらう患者様が少なくありません。しかし近年では、鎮静剤を使用した、いわゆる「眠れる内視鏡」により、身体的・精神的負担を大幅に軽減した検査が可能となっています。今回は消化器内科の専門的観点から、鎮静剤を用いた内視鏡検査の仕組みと安全性、当院での取り組みについて詳しく解説いたします。
内視鏡検査における苦痛の原因
上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)では、咽頭反射(スコープが咽頭を通過する際に生じる嘔吐感)や、送気による腹部膨満感が主な苦痛の原因となります。下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)においては、スコープ挿入時の腸管伸展刺激や、腸管の走行が複雑な症例における疼痛が問題となります。特に腹部手術歴のある方や、腸管癒着が疑われる方では、通常よりも検査に伴う不快感が強くなる傾向があります。
鎮静剤(眠れる内視鏡)とは
鎮静剤を用いた内視鏡検査とは、静脈内に鎮静作用を有する薬剤を投与し、患者様がうとうととした半覚醒状態、あるいは深い鎮静状態で検査を受けていただく方法です。一般的にはベンゾジアゼピン系薬剤(ミダゾラムなど)が用いられ、健忘作用と抗不安作用により、検査中の記憶がほとんど残らない状態で内視鏡検査を完了することが可能となります。全身麻酔とは異なり、あくまで意識レベルを下げる鎮静であり、自発呼吸は保たれた状態で管理を行います。
鎮静剤使用のメリット
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咽頭反射や不安感による苦痛が大幅に軽減される
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検査中の体動が少なくなり、詳細な観察や生検(組織採取)がスムーズに行える
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過去に内視鏡検査で苦しい思いをした患者様でも、再検査への抵抗感が少なくなる
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大腸内視鏡挿入時の腹部不快感が軽減され、盲腸到達率の向上にも寄与する
鎮静剤使用における注意点
鎮静剤にはメリットがある一方で、呼吸抑制や血圧低下などの副作用が生じる可能性があるため、検査中は経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)や血圧、心電図モニタリングを行いながら、慎重に投与量を調整する必要があります。また、検査後は鎮静剤の影響が完全に消失するまで院内で十分な休息をとっていただき、当日の自動車や自転車の運転は控えていただく必要があります。既往歴によっては鎮静剤の使用が制限される場合もあるため、事前の問診にて服薬状況や既往症を詳細に確認いたします。
当院における内視鏡検査への取り組み
私、中村和彦は九州大学医学部を卒業後、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health)への留学を経て、九州大学病院、原三信病院、国立病院機構福岡東医療センターにて消化器内科医として研鑽を積んでまいりました。この経験を活かし、当院では麻酔による苦痛の少ない内視鏡検査体制を整えております。
胃カメラ検査、大腸カメラ検査はもちろん、逆流性食道炎、胃十二指腸潰瘍、機能性ディスペプシア、ピロリ菌感染症、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)、過敏性腸症候群など、消化管領域の幅広い疾患に対応しております。鎮静剤を用いた検査をご希望の方には、事前の診察にて全身状態を評価した上で、安全性を最優先に検査計画を立案いたします。
こんな方に鎮静剤を用いた内視鏡検査をおすすめします
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過去に内視鏡検査で強い苦痛を経験し、再検査に不安がある方
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咽頭反射が強く、通常の胃カメラ検査が困難な方
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腹部手術歴があり、大腸カメラ挿入時の疼痛が懸念される方
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検査自体への恐怖心や緊張感が強い方
検査前後の注意事項
鎮静剤を使用する検査をご希望の場合、当日は公共交通機関でのご来院をお願いしております。福岡市営地下鉄「西新駅」1番・3番出口から徒歩2分という好立地にございますので、電車でのアクセスも便利です。検査後は鎮静剤の影響が残るため、院内で一定時間休息いただき、医師が覚醒状態を確認した上でご帰宅いただく流れとなります。
また、検査前日からの食事制限や、常用薬の休薬・継続の指示については、事前に詳細な説明を行いますので、ご不明な点があれば遠慮なくお申し出ください。抗血栓薬(抗凝固薬・抗血小板薬)を服用中の方は、生検やポリープ切除の可否にも関わるため、必ず事前にお申告いただくようお願いいたします。
まとめ
内視鏡検査は消化器疾患の早期発見・早期治療において不可欠な検査です。しかし「苦しい」というイメージから検査を先延ばしにしてしまうことは、胃がんや大腸がんをはじめとする重大な疾患の発見を遅らせるリスクにつながりかねません。鎮静剤を用いた眠れる内視鏡検査により、身体的・精神的負担を軽減しながら、質の高い検査を受けていただくことが可能です。
当院は土日も診療を行っており、福岡市早良区西新にお住まい、またはお勤めの方にも通いやすい環境を整えております。胃の不調や便通異常、健診での指摘事項など、少しでも気になる症状がございましたら、お一人お一人に寄り添った診療を心がけておりますので、お気軽にご相談ください。症状が続く場合は自己判断せず、早めに医師にご相談いただくことをお勧めいたします。
よくある質問
Q. 眠れる内視鏡とはどのような検査ですか?
鎮静剤を静脈内投与し、うとうとした状態や眠った状態で受けていただく内視鏡検査です。咽頭反射や不安感による苦痛が軽減され、検査中の記憶もほとんど残らないことが多いです。全身麻酔とは異なり、自発呼吸は保たれた状態で管理されます。
Q. 鎮静剤を使った内視鏡検査は安全ですか?
血圧や酸素飽和度をモニタリングしながら慎重に投与量を調整するため、安全性に配慮した管理が行われます。ただし呼吸抑制などの副作用が起こる可能性もあるため、既往歴の確認や検査後の十分な休息が必要です。
Q. 鎮静剤を使った検査後はすぐに帰宅できますか?
鎮静剤の影響が完全に消失するまで、院内で一定時間の休息が必要です。検査当日は自動車や自転車の運転を控え、公共交通機関でのご来院・ご帰宅をお願いしています。
Q. 鎮静剤を使う内視鏡検査はどんな人におすすめですか?
過去の検査で強い苦痛を経験した方や、咽頭反射が強い方、腹部手術歴がある方などにおすすめです。検査への恐怖心や緊張感が強い方にも負担軽減の効果が期待できます。
Q. 内視鏡検査前に準備することはありますか?
検査前日からの食事制限や、常用薬の休薬・継続についての指示があります。抗血栓薬を服用中の方は、生検やポリープ切除の可否に関わるため、事前に必ず医師にお伝えください。
記事監修者
中村 和彦
九州大学医学部卒。米国NIHに留学経験あり。九州大学病院、原三信病院、国立病院機構福岡東医療センターで消化器内科医として活動。